インドにおける日本語教育

>>>>>This post is about the Japanese Language Education in India. It is an extract from my Japanese Teacher Training Portfolio. To people who want to read this in English, I will be writing a separate post in a few days. To Japanese Language learners, try your best to read this post and then read the English version coming soon<<<<<

1.はじめに

インドを一言で表現する言葉としてよく使われるのが、『多様性』という言葉である。人類、宗教、言語、文化、文明等、あらゆる分野で多様性という言葉が適用される。このようなバラエティ豊かな国なので、日本語教育もかなり多様である。各地方では、日本との関係や外国語に対しての興味などの要因によるバリエーションがあり、様々な日本語活動が行われている。

本橋ではインドにおける日本語教育の過去・現在と課題について述べる。

 

2.インドの基本情報

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インドは広大な国で、日本の約8.7倍の面積である。

総計人口:約13億人(日本の10倍)

首都:デリー

最大都市:ムンバイ

公用語:ヒンディー語、英語、各州の公用語(21)

 

2.1 インド:多言語社会

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(source : https://www.youthkiawaaz.com/2014/07/great-indian-language-debate-amid-hinglish-hegemony/)

多様性の特徴を持つインドは、1枚のお札に15の言葉を記している。公用語として22言語が使われていて、一般のインド人はいくつかの言語を習って育つ。インドでは初等・中等教育で、少なくとも3つの言語が学習されている。①地域の言語(学習者の母語と違う場合もある)、②連邦公用語(英語、ヒンディー語)、③1と2以外のインドの言語、または外国語。つまり、「3言語方式-Three Language-Formula」が原則採用されている。学校教育における英語以外の外国語は、主にフランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、ペルシア語、アラビア語に限られている。ようやく2006年から日本語も導入された。

 

2.2 日印関係の背景

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歴史を通じて、日印関係は常に強かった。仏教はインドから中国を通じて日本に伝わった。その後何世紀も、インドと日本は文化的な交流を続けてきた。第二次世界大戦中・後、インドと日本は双方の歴史における困難な時期において、お互いを支えあってきた。インドの独立後も良好な政治的関係により、日系企業はインドに製造施設を持ち続けている。インド経済の発展により、インドは日本の企業にとって大きな市場となっている。インドでは、戦後の過酷な状況から復興した国として、また、先端技術を有する国として、日本への評価・関心が高く、対日イメージは良好である。日本文化としては、これまでは、生け花、盆栽、折り紙、空手などが親しまれていたが、最近はアニメ・マンガなども人気になった。歴史的にも関係が深く、今後日本とインドがより緊密に連携していくことは、世界平和のために極めて重要になってきている。

 

3. インドにおける日本語教育

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言語学習が多いため、日本語を第3言語または第4言語として学ぶ学習者も多いようである。公的機関や私立の中等教育機関により、様々な日本語教育と日本語研究が行われている。ここでは、まず、インドで日本語教育の始まりと20世紀後半から行われてきた活動を簡単に紹介し、各地方の日本語教育の概要に少し触れてから、日本語学習者の現状を述べる。最後に、インドの日本語教育の上達を引き延ばす原因になっている幾つかの問題について簡単に紹介する。

3.1 日本語教育の始まり

インドの日本語教育の歴史は浅いようだが、その道程を遡って見れば、今から70年前にインドで日本語講座が開講されたことがわかる。それは、アジアのノーベル文学賞受賞者タゴールのおかげである。タゴールは自分の設立した「ヴィシュヴァ・バーラティ大学」に、1950年ごろ日本から日本語教師を招き、さらに、大使館や総領事館、印日協会などでも日本語教育が行われるようになった。それが独立インドにおける日本語教育の始まりだった。

3.2 日本語教育の過去と現代

インドは大きい国で、インドにおける日本語教育の過去と現在について考えるとき、北、南、西、東インドと4つに分け、研究や調査が行われてきた。各地方の公的機関と民間施設の日本語教育はそれぞれの特徴があるが、ここで全てを取り上げて説明することが難しい。

3.2.1  20世紀の日本語教育

インドで、日本語教育および日本語研究が本格的に動き出したのは日印外交が樹立された1952年以降である。1948に設立された「外国語学校」(School of Foreign Languages)に1954年から公務員、外交員及び軍人向けの日本語講座が開設された。一方、日本政府も日本語を通して海外における日本理解を促進しようとさまざまな政策を実行した。しかし、1980年代までの日本語教育・日本語研究は首都デリー(北インド)を中心に行われていた。東インドのコルカタやヴィシュヴァ・バーラティ大学、西インドのプーナ大学なども以前から日本語教育を行っていたが、いずれもパートタイムのコースであった。次第に、日本語教育は、南インドの最大都市チェンナイ、バンガロール、西インドのグジャラート州などへも広がった。

3.2.2 21世紀の日本語教育

21世紀に入ってから、日本語教育は上記の大都会において、より活発に行われるようになった。2006年にインドの中等教育中央委員会(Central Board of Secondary Education:CBSE)の傘下にある学校では、日本語が第3言語として選択科目に指定され、第6学年から日本語を学べるようになった。現在、首都圏付近約70以上の学校が日本語を教えている。地方のいくつかの学校も教え始めているようだが、その統計はまだ不確定なため、実態ははっきりつかめていない。

 

3.3  日本語学習者group_student

 以前インドでは、外国語(日本語を含む)の学習は「女性が興味としてやるものだ」や「頭脳が鈍い者が、他に選択肢がなくてやるものだ」など一般に軽視されていた。しかし、21世紀に入って、外国語さえ知っていれば良い仕事に就けると悟ったインド人の学生や失業で悩む若者たちが、日本語や外国語講座に興味を持つようになった。特に日本語の場合、年々応募者の数が驚くほど増えている。これがインドで毎年実施されている日本語能力試験の受験者の数の推移である。

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2017年度の全国の統計はまだ公表されていないが、2010, 2014, 2016年度の受験者数を図1と表1に表している。

2lllJLPT主な国・地域別受験者数(1984~2016) 東京教育公論

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下記の表は、2003年~2015年に国際交流基金が実施した調査である。

2015年度の調査の結果によると、2015年にインドで日本語を教えている教育機関は合計184所で、日本語教師は約655人で、総学習者数は約24011人である。2006年の結果によると、学習者は2003年から2006年にかけて5446人から11011人に増えて2倍以上になったことがわかる。2003年から2015年までの増加率を見ると、さらに、外国語としては非常に高い比率であることを認めざるを得ない。

 

4. インドの日本語教育の普及を妨げる要因

 インドは多言語社会で、学校では英語を含め通常3つ以上の言語学習が義務づけられているため、学校教育においてそれ以上外国語を勉強するのは良く不可能である。高等学校や大学では、最近日本語教育が’注目されているが、予算不足や優先順位の変更による停滞状態が続いている。このため、ヒンディー語を母語とするデリーを中心とする地域で、第3言語としての外国語を導入する私立語学機関が増えてきている。しかし、欧米やアジア諸国と違って、外交官向けの国家公務員試験では、国連公用語以外の外国語が選択科目として認められていないため、苦労して外国語を身につけても観光案内や通訳・翻訳といった平凡な仕事にしか雇われない可能性が高い。そのため、日本語学習者は勉強をやり続けようとしない。

次に考えられる主な要因は、最近の両国の民間交流の不足とお互いの浅薄な知識に関係ある。21世紀に入ってから、政治と経済、貿易と技術交換の分野で多少の進行が見られるものの、文化・文学・語学の面では関心が少なく、互いに近くて遠い存在を維持していると言っても過言ではない。両国における互いの文学の普及は、この「無知」と「利益相反」の壁で妨げられているとも考えられる。

 

5.おわりに

21世紀から始まった経済自由化と市場開放の結果、多くの外国企業がインドに進出して投資するようになった。その中、日本企業は従来に比べて何倍も増えてきた。これからの日印関係もさらに密接になり、両国間の技術的、政治的、経済的、外交的関係が一層深まっていくに違いない。したがって、インドは日本語教育の変わり目に着き、将来、急増する人材需要を満足させるために、今から多くの日本語学習者および専門家を育てる義務がある。国際交流基金においての日本語学習者向けの奨学金や日本語教師研修プログラムなどはその第一歩として評価できる。これからも日本語教育向けのさらなる活躍にて、より強い日印関係を築き上げ、共存共栄のグローバル社会作りを目指して協力することが何よりも期待される。

 

参考サイト

  • インド(2012~2016年度)(国際交流基金)

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2016/india.html


 

-あのん奈

 

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